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コインチェック騒動でネム(NEM)に注目集まる
今年に入って起きた国内大手の仮想通貨取引所コインチェックでのネムの不正流出事件をきっかけに、仮想通貨ネム(NEM)に注目が集まっています。ネムを購入していた人やネムの購入を検討中だった人にも、ネムの特徴は何か、今後のネムに期待して良いのかが気になるところでしょう。
ネムの特徴を改めて見直し、コインチェック騒動後のネムがどうなるか検証します。
仮想通貨ネム(XEM)の特徴
世界経済コミュニティから生まれた仮想通貨
仮想通貨ネム(NEM)は、新しい経済圏の開発を目指すコミュニティの活動から生みだされました。
コミュニティの名前は「New Economy Movement」。略称を「NEM」と言います。「新しい経済活動」を意味する言葉で、画期的で新しい経済圏と、親密なコミュニティの創造を目指しています。
NEM財団と仮想通貨XEM
NEMのコミュニティ活動の一つとして、仮想通貨「XEM(ゼム)」があります。
NEMは現在、シンガポールにNEM財団を作り、世界各地に支部を展開しています。XEMはNEM財団オリジナルの仮想通貨ですが、財団名と混同されたり、表現の便宜上で「仮想通貨NEM」と呼ばれることがあります。
仮想通貨XEMの特徴
仮想通貨XEMの特徴はそれまでのビットコインの問題点を考慮したうえで、全く新しいブロックチェーン技術を作り出したこととされます。ビットコインと関係なく、新規に作り出されたブロックチェーンであり、ビットコインより決済が速いなど、さまざまな利点があります。
決済が早い
XEMのメリットとして、ビットコインより圧倒的な決済スピードを持つことです。
ビットコインの場合、ブロックチェーンの1ブロックごとの容量が少ないことが原因で一度に送るデータ転送速度が遅くなってしまいます。一回の決済において少なくとも10分~1時間以上かかることもあり、送金づまりといった現象が起きるということもあります。
対して、ネム(XEM)の転送速度は早く、決済完了も約1分から数分で終わってしまうので送金などの際には非常に便利なのです。
資金や電力がかからない
NEM財団の方針の1つが「富の再分配」です。XEMの取引に参加した人が、誰でも平等に利益を得られるように設計しています。
一方、ビットコインでは、資金力が莫大で電気代を多く使える一部の人だけがマイニングできたり、利益を得やすい制度になっています。
XEMには「PoI (Proof-of-importance)」という制度があります。資金力に関係なく、XEMをより多く利用した人が利益を得やすい制度です。XEMのアカウントを取得すると、PoIスコアを与えられます。XEMの保有量だけでなく、取引量も評価の対象となるスコアです。既定のPoIスコアを得ると、ビットコインのマイニングに相当する「ハーベスティング」に参加できるという仕組みになっています。
XEMを扱う仮想通貨取引所が少ない
日本国内には、XEMを取り扱っている仮想通貨取引所が2つしかありません。
XEMを取引可能なのは、コインチェックとZaif(ザイフ)だけです。コインチェックは「みなし業者」であり、ネムの不正流出事件もあって事業見直し中なので取引停止がされています。そのため、仮想通貨交換業者に登録されて正式に運営されているのはZaif(ザイフ)のみとなります。
XEMで支払いができる店が少ない
また、日本国内にはXEMを使っての支払いができる店舗やサービスがほとんどありません。
ビットコインより決済が速いため、一部の飲食店や喫茶店で導入が進んでいますが、数が増えていません。全国各地のお店でXEMが使えるまでは、時間がかかりそうです。
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仮想通貨XEMとビットコインとの違い
XEMは新規発行されない
XEMは、公開当初に総発行量8,999,999,999XEMが発行され、約1,600人の投資家に同量が配られました。そして、XEMの発行の上限は公開当初の総発行量と同一です。ゆえにコインの新規発行は行われず、ビットコインのマイニングと同じ制度はありません。
決済完了までが非常にスムーズ
XEMが公開されたとき、話題となったのが決済のスピードでした。ビットコイン以外にも主要な仮想通貨はいくつかありますが、XEMのスピードはかなり早く、まだ追いついていない通貨も多いです。
仮想通貨XEMと他の通貨を比べた時、優位性は?
XEMの安全性
XEMは他の仮想通貨にない特徴として、安全性の高さを挙げています。XEMのアルゴリズムもスパム対策も、NEMだけのオリジナルの安全対策が行われているからです。
XEMのアルゴリズムは、セキュリティに強い「EigenTrust++」が使われているそうです。情報処理能力が限界になった場合は、スパムの疑いがあるノードだけを選択してシャットダウンします。
スマートコントラクト
スマートコントラクトとは、契約を自動化するシステムで、イーサリアムにも使われており、XEMもスマートコントラクト技術を活かした仮想通貨です。
イーサリアムのスマートコントラクトは、開発者しか書き込みができないという不便がありますが、XEMは自分でクリックするだけで、マルチシグネチャコントラクトを作成・編集可能です。
カタパルト機能を実装
XEMで大きな期待を寄せられているのが、2018年のカタパルト機能の実装です。
カタパルト実装では、アップデートよりも大規模に性能が向上します。カタパルト実装で変わることの1つが、XEMの情報処理速度のスピードアップが期待できます。仮想通貨の情報処理速度は、「1秒に何件処理できるか」で表現されることがあります。XEMが1秒に処理できる件数が、仮想通貨の中でもトップクラスになるのです。
仮想通貨で情報処理速度がトップクラスなのは、リップルの仮想通貨XRPで、1秒間に1,000~3,000件の情報を処理します。
そして、XEMのカタパルト実装後は1秒間に3,000~4,000件の情報処理ができるようになり、XRPの処理速度も凌ぐほどのスピード向上が期待できるということなのです。
アグリゲートトランザクション
XEMのカタパルト実装では、もう1つ向上する性能があります。
今まで以上に決済をスムーズにする「アグリゲートトランザクション(Aggregate Transactions)」です。
AとBがXEMを使って取引をしたい時、AとBで信頼しあって取引しても良いのですが、第三者が仲介してくれると、取引がよりスムーズになります。「アグリゲートトランザクション」は、AとBがXEMで取引しやすいように、第三者を「mijin」というネットワークが行うものです。
コインチェック騒動後、NEMはどうなる?
コインチェック騒動後のXEMがどうなるか考えるには、3つのポイントがあります。
NEM財団のコインチェック騒動への対応
コインチェックは騒動当初に「補償や取引再開のめどがたたない」と発表しましたが、NEM財団が迅速な対応を行っています。
NEM財団は騒動直後にコインチェックと連絡を取り始め、次々と対策を打ち出しました。流出したXEMにタグをつけて追跡・監視をしたり、日本のホワイトハッカーと連携したという情報もあります。
NEM財団の今後の対応によっては、NEM流出によるイメージダウンを払拭できる可能性があります。そこまでの状況にもっていくには、かなりの努力が必要であることも現実です。
カタパルト実装による値動き
今後、カタパルト実装は段階的に行われているため、XEMの値動きにどう影響するのか、読み切れないところがあります。カタパルトによる好影響が具体的になれば、XEMの価格に反映する可能性が出てきます。
今まで以上に送金の速度が向上し、実用性が認められてくることが予想できます。
最も期待できるのは、bitFlyer上場
現状のXEMには価格上昇の要素がないように見えますが、1つだけヒントがあります。
「XEMを扱う仮想通貨取引所が国内に2つしかなく、1つはみなし業者である」という現状です。
この状況でXEMの価格上昇が期待できるとするなら、bitFlyer上場です。国内でも海外でも、新しい仮想通貨取引所で取り扱いが始まると、仮想通貨の価格が急上昇しています。
インターネット上でbitFlyerとXEMに関するデマが流れ、XEMの価格が急上昇したことがあります。「bitFlyerが、XEMの取り扱いを始めることが決定した」という内容のデマが流れたのです。
今後のXEMが、本当にbitFlyerに上場した場合、国内でネム急騰が起きるかもしれません。
今は流出事件の影響で値が下がっているので、1XEM=50円台を推移していますが、少し前まで高値でもあったことを考えるとまだこれから価格が上昇することが期待できるでしょう。